解剖実習の流れについて

こんにちは!今回は医療系学部で行われる解剖実習について、私の経験を元に流れや役に立つものを中心に書いていこうと思います!

~はじめに~解剖実習って?

解剖実習とは実際の人の体を開き、その内部構造や機能を観察する医療系学部で行われる実習の事です。

大きく肉眼解剖学、顕微解剖学(組織学)、神経解剖学の三つに分かれており

それぞれについて軽く説明すると、肉眼解剖学は一般にイメージされるような「解剖」で肉眼で見てわかる範囲の人体の構造を学ぶ学問です。

顕微解剖学は組織学とも呼ばれ、顕微鏡で組織を覗いて細胞の構成や種類を学ぶ学問。

神経解剖学は脳や脊髄の神経の通り道を学ぶ学問になります。

この中でも今回は肉眼解剖学実習について書いていきます。

実習で使われる人体は御献体と呼ばれ、篤志家の方の生前の意思に基づいて提供していただいているものになります。

実習の流れ

大学によって異なりますが、私の大学では午前中に講義室で講義を行い、午後に実習室へ移動して解剖を行い、その日の剖出目標を達成した後に先生の口頭試問に合格したら帰宅できるという流れでした。

1班あたり4、5人のメンバーで構成されていて、1班に1名の御献体が割り当てられます。

この班で解剖から口頭試問まで乗り越えることになるため、どんな人と同じ班になるかも重要です。

勉強ができる人や手際のよい人、性格のよい人と一緒になれたらラッキーです。

逆にそうでなかった場合は班員とうまくやるスキルも求められていると割り切って取り組みましょう。

それでは大まかな流れについて詳しくみてみましょう。

 

①午前:講義

講義室に集まって全員で先生の講義を受けます。

イメージするようなthe 「大学の講義」って感じです。

解剖実習が忙しくなると遅刻、欠席が目立ち、出席率が落ちてきます。

ひどい時は一時間目の始まりに学年の三割くらいしかいないときもありました(汗)

午前中の講義の終わり際に午後行う実習の内容や手順を動画を用いて説明されるので、授業の冒頭こそいなかった人も終わり際にはしっかりといる印象です。

 

②午後:実習室へ移動

昼休みが終了すると実習室へ移動します。

午後の授業始まりには実習室で準備を完了していないとスムーズに実習を開始できないので、午後遅刻する人はめったにいません。

 

③準備完了!黙祷!

班員全員が集合し、白衣、手袋などの準備が完了したらいよいよ作業に入りたいところですが、まずは黙祷を行います。

解剖とは普通に考えると死体損壊以外の何物でもありません。

医学を学ぶという大義名分はあれど、そんな尊い遺体を解剖することを許してくださるのは献体してくださった篤志家の方のご厚意あってのものです。

作業前後には追悼と感謝の気持ちを表し、必ず黙祷を行います。

 

④作業

いよいよ作業に入ります!

まず資料を見てその日の剖出目標と口頭試問の内容を確認します。

剖出目標は「腕神経叢」や「大腿動脈」、「大胸筋」のように資料に書いてあるので、それらをピンセットで指せるように周りの組織をきれいにはがしていきます。

1日の剖出目標はだいたい10数個あり、4人班を2組に分けてそれぞれ剖出を行います。手順は「解剖実習の手引き」に書いてあるので、その記載に沿って進めていきます。

作業時間は早い班だと4,5時間程度で遅い班だと7,8時間でした。

私の大学は剖出だけでしたが、大学によってはスケッチがあるところもあるらしいので大変です。

 

⑤口頭試問

すべての剖出が終了したらいよいよ口頭試問です。

これは知識や理解が身についているかを先生に口頭でテストしてもらうもので、先生によって違いますが、だいたい5~10分程度かかります。

作業が終わり次第順番待ちをして、その順に先生がやってきて口頭試問をしてもらいます。

すべての予習はこの時のためにあったといっても過言ではありません。

というのも、合格するまで帰れないからです

放課後バイトがある、部活がある?そんなの関係ありません。

合格するまで試験を受け続けなければなりません。

つまり、ここで落ちるか受かるかで帰る時間が決まってくるのです。

もちろん一発で合格できればすぐに帰宅できますが、不合格になったときは悲惨そのもの。

順番の最後に並び直しになるので、並んでいる班がすべて口頭試問を終えてから再び受験します。

その場合2~3時間順番待ちをしなくてはならないのです。(まあ先生の方が何倍もつらいとは思いますが、、、)

逆にすべての班の中で一番に合格できた時の喜びはそれはもう何物にも代え難いがたいものです。

肩で風を切って颯爽と帰宅できます。

 

⑥黙祷、片付け

口頭試問に合格後は片付けです。剖出で用いたメスやピンセットなどの器具を洗浄し、収納します。

献体も乾燥を防ぐためフェノールを吹きかけて布とビニールで丁寧に包みます。

片付けが終わったら、再びご献体に対して黙祷を祈ります。

いつ何時も感謝の気持ちと追悼の気持ちは忘れません。

 

⑥予習

片付けも終わり、講義室、ロッカーで荷物を回収し気づいたら空は真っ暗、、お腹もすいた、、でもようやく帰れるぜ!!

甘いです。

明日も実習です。

明日の範囲の予習が待っています。図書館へ向かい予習を行うのです!!!

明日も早く帰るために!!!!

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

肉眼解剖実習の大まかな流れを書いてみました。

なかなかできない経験だけに、「医療従事者になるんだ!」という決意を新たにさせてくれるイニシエーション的な要素もあると思います。

ご教授いただいた先生方、解剖を許してくださった篤志家、遺族の方、そして同級生の方々への感謝を忘れずに勉強に励んでいこうと思います。

それでは~